「AIにお願いすれば、プログラミングができなくてもアプリを作れるらしい」

そんな話を聞く機会が増えました。ChatGPTやClaudeに「こんなアプリを作りたい」と伝えれば、コードを書いてくれる。エラーが出ても、AIに聞けば直してくれる。

「それなら、プログラミングを勉強しなくても、AIに全部やってもらえばいいのでは?」

そんなことを考えたのが、今回の挑戦のきっかけです。


私は営業職として、お客様とのやり取りや案件・人材の情報整理を担当しています。

コードを見ても、「英語……ではない?」くらいの知識しかありません。そんな私が作ろうとしたのは、仕事で使うアプリではなく、趣味の日記アプリでした。

「自分が使うものなら、多少うまくいかなくても試してみよう」

そう思って、AIを使ったアプリ開発に挑戦してみました。そして、かなり早い段階で気付きました。


「アプリを作って」と言ったら、5分で知らない言葉が10個増えた

最初のお願いは、かなり雑なものでした。

こういう日記アプリを作りたいんだけど、こんな機能をつけて、初心者でも作れるようにして

するとAIは、

もちろんです!

と、とても頼もしい返事をしてくれます。 そして、その直後。

大量のコード。
大量のファイル名。
大量の知らない単語。

まず、○○をインストールしてください

次にターミナルから○○を実行します

このディレクトリに○○を配置します

……。

アプリを作ってほしいとお願いしたはずなのに、開始5分で知らない言葉が10個くらい増えました。

しかもAI側は、

ここまでできたら、次に進みましょう!

と、とても順調そうです。 こっちはまだ最初の一行で止まっています。


AIは「分からないことが分からない」を知らない

ここで、初めて失敗に気付きました。

私はAIに「初心者です」と伝えていました。

しかし、「初心者」のレベルが曖昧だったのです。

そこで、お願いの仕方を変えてみました。

  • 私はプログラミング経験がほとんどありません
  • 専門用語を使う場合は、その意味も説明してください
  • 一度に全部説明せず、1ステップずつ進めてください
  • 私が「できた」と言うまで、次の作業に進まないでください
  • コードを変更する場合は、どのファイルのどこを変更するのか教えてください

こうしたことを、細かく伝えるようにしました。

すると、かなりやり取りが変わりました。

AIが優しくなったというより、AIと私の「初心者」の定義が一致したという感覚です。


「全部作って」より「今ここだけ直して」の方がうまくいった

開発をしていると、

「ボタンをもう少し大きくしたい」
「ここの文字を変えたい」
「この動きを追加したい」

ということが次々と出てきます。

その頃の私は、修正のたびにかなり欲張っていました。

ボタンを大きくして、色も変えて、画面の配置も調整して、新しい機能も追加してください

という感じです。

AIはまた、

もちろんです!

と答え、修正してくれます。

ところが、さっきまで動いていたものが動かない。新しいエラーが出る。
「これを直して」とお願いしたら、さらに違うところが壊れる。

気付けば、

これも、AIが悪いというより、私のお願いの仕方に問題がありました。

そこで、

今回はボタンのサイズだけ変更してください。他の部分は変更しないでください

まず、このエラーだけ直してください。新しい機能は追加しないでください

というように、一度にお願いすることを一つにするようにしました。

人に仕事をお願いするときも、

「これと、これと、これと、これ、全部よろしく!」より、

「まず、これをお願いします」

と言った方が伝わりやすいものです。AIも同じだったようです。


エラー文は怖いけれど、意外と最強のヒントだった

初心者にとって、一番心臓に悪いのが赤い文字です。

画面いっぱいに英語のエラーが出た瞬間、

と思います。

当初は、エラーが出るたびに、

動きません

とAIに伝えていました。

でも当然、AIからすると情報が足りません。

そこで、表示されたエラーをそのままコピーして、

このエラーが出ています。初心者にも分かるように、原因と直し方を教えてください

と送るようにしました。

すると、

この部分で、○○というファイルが見つからないというエラーです

おそらく、この設定が原因です

というように、原因を説明してくれます。

私はエラー文を読めません。でも、読めないものを、読めるAIに渡すことはできます。

AIにコードを書いてもらうこと以上に、分からないものを翻訳してもらうという使い方が、実は一番助かっているかもしれません。


「AIに指示する」より「AIと相談する」に変わった

最初の私は、

これ作って

はい、どうぞ!

という関係を想像していました。

でも、実際にやってみると、少し違いました。

「こういうものを作りたいんだけど、初心者なら何から始めればいい?」

「今こうなっているのですが、次は何をしたらいい?」

「このエラーは何?」

と会話しながら進めた方が、圧倒的にうまくいきました。

つまり、AIに仕事を丸投げするというより、詳しい人に隣で相談しながら、一緒に作る くらいの距離感がちょうどよかったのです。

AIにうまく答えてもらうために大事だったこと

・「何をしたいのか」を具体的に言葉にする
・「何が分からないのか」を正直に伝える
・「どこまでやってほしいか」をはっきり区切る


AIについて調べていると、「プロンプト」という言葉をよく見かけます。 最初は、AIを上手に使うには、何か特別な命令文を覚えないといけないのかな?と思っていました。もちろん、AIにうまく指示するための型やテクニックはあるのだと思います。

ただ、実際に開発してみて感じたのは、もっと単純なことでした。これだけでも、AIとのやり取りはかなり変わります。


AIがあれば初心者でも開発できるのか

アプリ開発に挑戦する前は、「AIがあれば、プログラミングを知らなくても全部作ってもらえる」と考えていました。

しかし実際には、分からないことを説明してもらい、一つずつ確認しながら進めることで、初心者でも開発に挑戦できるのだと分かりました。

今回、開発そのもの以上に学んだのは、「上手に答えてもらうには、上手に質問する必要がある」 ということです。


これから営業の仕事でAIをどう使うか

AIとのやり取りを通じて、相手に前提や条件を具体的に伝える大切さを実感しました。これは、普段の営業でも同じです。

案件にはスキルや経験、勤務条件、期間などの情報があり、人材にも経験や得意分野、希望条件があります。これらをAIで扱うには、情報を正しく整理し、重視する条件を明確にしなければなりません。

その実現に向けて、今後は案件情報と人材情報をAIでマッチングするシステムの開発にも取り組みたいと考えています。 候補の抽出をAIに任せることで生まれた時間を、提案や相談、関係づくりといった営業にしかできない仕事に使う。
それが、これから目指したいAI活用です。