AIアバターを使うと、写真1枚から“話す受付スタッフ”を作れる時代になりました。
当社でも、AI受付の活用可能性を探る取り組みの一環として、代表の渡邊が試作版のAI受付「イッペイ」くんを作ってみました。
本記事では、その作り方と、実際に動かしてみて分かったことをご紹介します。


こんにちは、渡邊です。

最近よく聞く「AIアバター」を、自分でも作ってみました。
目標は会社の受付をしてくれるAIです。写真1枚からリアルタイムで話すアバターを作れるAnamというサービスを使うと、プログラミングなしで、ほんの少しの時間で形になりました。

……形にはなったのですが、生まれてきたAI受付「イッペイ」くんには、ちょっとしたクセがありました。


作り方(ざっくり5ステップ)

Anamに登録する

anam.aiで無料アカウントを作ります。無料プランでも30分試せて、写真から作るアバターも1体作れます。

STEP
1

写真1枚からアバターを作る

「Create custom avatar」から顔写真をアップロードします。条件は1152×1152px以上で、正面を向いていて、手が写っていないことです。数分待つと、写真の人物がまばたきをして話すアバターになります。これが「イッペイ」です。

STEP
2

ペルソナ(性格)を作る

「From scratch」を選んで、次の項目を設定します。

  • System Prompt:「あなたは受付担当AIです。日本語で丁寧に話し、名前・会社名・ご用件・担当者を伺ってください」
  • First Greeting:「SGビジネス株式会社へようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
  • Voice:日本語の声
  • TranscriptionのLanguage:Japanese(ここを忘れると日本語をうまく聞き取れません)
STEP
3

Publishする

右上の「Publish」を押して保存します。

Warning

ちなみに私は、Publishのたびに「Olivia」という名前のペルソナが増えていき、気づいたらOliviaが8人になっていました。お気をつけください。

STEP
4

話しかけてみる

マイクを許可して、いざ受付テストです。

STEP
5

実際の会話はこちら

AIイッペイ

SGビジネス株式会社へようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?

完璧です。声も丁寧で、表情も自然。これはいけると思いました。

社長

システムの開発の件でお話ししたいんですけれども

AIイッペイ

「warm」お名前とご所属の会社名、そしてご担当者様をお伺いしてもよろしいでしょうか?

……ワーム?

いま、会話の冒頭で「ワーム」と言いましたよね。虫でしょうか。それとも「あたたかい気持ちで対応しますね」という心の声でしょうか。
どちらにしても、口に出す必要はありません。

社長

なんで途中でワームって言うんですかね。英語はちょっとやめていただきたいんですけれども。

AIイッペイ

「concerned」申し訳ございません、英語は使用いたしません。

謝罪の一言目が英語でした。

「心配しています」という気持ちを、英語で宣言してから謝ってくれました。そして「英語は使用いたしません」と約束。これが二文目です。一文目はもう英語でした。

社長

Concernedもすでに英語ですよね

AIイッペイ

「concerned」ご指摘ありがとうございます。以後、……

また心配していました。


イッペイくん、とても誠実です。そして、とても心配性です。受付に来たお客様より先に、イッペイくんのメンタルが心配になってきました。


さらに、首をかしげるクセもありました

気になるのは言葉だけではありません。イッペイくん、会話の合間にやたらと首をかしげます。

右にかしげ、少し考えて、また右にかしげる。こちらが普通に用件を伝えているだけなのに、「え、今なんて?」「本当にそれで大丈夫ですか?」と言いたげな表情を浮かべます。

そこへ「warm」「concerned」のつぶやきが加わるので、全体の印象は温かいのか、心配しているのか、何かを疑っているのか分からない、ちょっと情緒不安定な受付さんです。来訪者のほうが「なんか、すみません……」と謝りたくなってきます。

こちらの原因も、おそらく次に説明するDirector Notesです。感情に合わせて表情を自動で付ける「Dynamic」と、表現の大きさを決める「Expressivity」(初期値0.5)の組み合わせで、少しオーバーな演技になっているようです。熱演はありがたいのですが、受付に求めているのは、もう少し落ち着いた接客です。


なぜ「warm」「concerned」と言うのか

調べてみると、原因はおそらくDirector Notes(表情の演技指導)の「Dynamic」機能です。

この機能は、AIが返事を作るときに「warm(温かく)」「concerned(心配そうに)」といった感情のラベル(ト書き)を付けて、それに合わせて表情や声色を変える仕組みです。本来このラベルは裏側で処理され、読み上げられることはありません。

ところが今回は、会話AIに選んでいたGPT OSS 120Bがラベルを想定と違う形で出力したようで、そのまま「セリフ」として読み上げられてしまったと考えられます。

つまり・・・

イッペイくんは、台本のト書きまで全部声に出して読んでしまう新人俳優だったわけです。
「(温かく)いらっしゃいませ」を、そのまま「かっこ温かくいらっしゃいませ」と読んでしまう、あの感じです。


直し方(試す順番)

① Director Notesの「Dynamic」をオフにする:いちばん確実です。表情は少し控えめになります。

② Expressivityを0.2〜0.3に下げる:首かしげなど、大きすぎる表情や動きを控えめにできます。

③ LLMを別のモデルに変える:Anamが推奨しているモデルに変えると、ラベルが正しく処理される可能性があります。

④ System Promptに「感情を表す英単語を発話に含めない」と書く:補助的な対策です。今回の会話を見るかぎり、本人に言っても直らないので、あまり期待はできません。


まとめ

  • 写真1枚から、話して、まばたきして、表情も変わる受付AIが本当に作れるのは驚きでした。
  • 日本語の聞き取りも応答も、かなり自然です。
  • 表情の設定が強すぎると、首をかしげまくる情緒不安定な受付になります。
  • ただし、設定の組み合わせによっては感情のト書きを読み上げてしまうことがあります。
  • AIに「英語やめて」と頼んでも、返事の一言目が英語になることがあります。


次回は、イッペイくんのト書き読み上げと首かしげを直したうえで、声をFish Audioの日本語音声に差し替えてみる予定です。イッペイくんが、お客様より先に心配しなくなり、首もまっすぐになる日を目指します。



実際に動いているイッペイくんを、ぜひご覧ください。

※動画に登場する「イッペイ」くんは、社長 渡邊の写真から作成したAIアバターです。声や会話の内容も、AIが生成したものです。